その47県道29号旧線 保呂羽山2002.9.26撮影
 秋田県平鹿郡 大森町


 秋田県内陸南部は出羽山地に支配されているが、ここを東西に縦断する主要地方道が、「横手大森大内線」だ。
番号は29番が、県道指定された昭和39年当初から当てられている。
小さな峠を幾つも超える全長40km余りの同路線だが、その中で最大の峠が、この保呂羽山越えである。
 保呂羽山は信仰の山であり、毎年11月に行われる霜月神楽は1200年の歴史があると伝えられている。
また、県南で小学時代を過ごした人ならば、遠足などの行事でまず訪れているというほど、生活に密着した身近な山である。

そういう山であるから、古くからここを通る道はあったし、時代の移り変わりと共に、その道形も変遷を受けていた。

昭和60年、一つの道が、旧道という褥で眠りに就いた。



 主要地方道29号線を大森町の中心部から西進すること10キロ余り。
途中芦沢峠をトンネルでくぐり進むと、いよいよ保呂羽の山が正面に現れる。
とはいっても、高々標高439.0mの山は、遠くからでは他の山に隠され、また深く懐に入れば山頂は見えずと、決して目立つ山ではない。
山越えに入る前の最後の集落である、この大小屋で、新旧の県道は分かれる。

右が旧道だ。



 旧道沿いに大小屋の集落があり、道を挟んで猫の額ほどの水田が黄金色に輝いている。

こういう場所で暮らしたことはないけれど… なつかしい。

いいなぁ。ここ。

もう、入り口の段階でこの道がいっぺんに好きになってしまった。




 集落はすぐに森になる。
1車線のひび割れたアスファルトが、急激に勾配を増す。

峠の登りの始まりだ。



 所々に待避スペースが設けられた、典型的な古い峠道。
電線が道に沿って続いていて、里山らしい。
勾配は本格的だが、心地よい汗を山の風が撫でる。




 ひとしきり登ると、なだらかな山容の向こうに大きな建物が見える。
あれは、現県道沿いに建設された「少年自然の家」の建物だ。
現道とは、直線距離で1500m以上は離れており、この規模の峠道にしては珍しく、現道が完全な新規バイパスとして建設されたことが分かる。
この旧道の改良では、十分な効果が得られないと考えられたのだろう。

そしてその現道だが、やはり標高に似合わないダイナミックで自由な線形を描き、走り屋に喜ばれそうな道となっている。



 旧道はさらに登る、現道が峠に至る高度に達しても、なお登りは続く。
それは、この旧道が保呂羽山の山頂に近い部分を通行しているからだ。
最初に挙げた地図をご覧頂ければわかりやすいが、この道は、山越えであり、一般的な峠越えではない。
敢えて高い位置を通過する道なのだ。
昭和39年に県道となってから、昭和60年までは現役だった道だが、この様子ではなかなかの難所だったに違いない。

雰囲気としては、あの国道108号旧道の松の木峠雄勝町側の道によく似ている。



 山でよく見る植物達の知識をもっと持ったら、どんなにか楽しいだろう。

旅の最中、そう思うことが度々ある。

皆さんは、どのようにして勉強しました?
子供の頃買ってもらった学研の植物図鑑だと、どうもしっくりこなくて…。

写真は、路傍の“よく見る実”で、「ガマズミ」という奴なのでしょうか?



 峠が近づいてきたことが、周りの山々との背比べに知る。
周囲に高い山が少ないから、たった標高300mくらいで、もうダイダラボッチになったような眺めだ。

写真は、振り返って撮影。
大森町から羽後町の山々が坦々と続いている。
また、路面にも注目。
路肩が落ちかかっている。
ガードレールも白線も無い道は、廃道となる定めにあるのか。




 道の蛇行が大人しくなると、峠が近い。
最後にググッとキツいのが来て、カーブを越えると、

いかにも、峠 ってかんじの景色。

いいなー。
なんか、この峠って、ベタだけど、
それだけに、落ち着く。
はじめて来たけど、なんか懐かしいよー。




 峠は十字路になっている。
左はスキー場に、右は山頂に続いている。
次回はそこを紹介しよう。

今回は、ミニレポだけど、続きまーす。

ほのぼの…。


2004.3.13作成
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