南三陸の宮城県河北町と雄勝町の間には、釜谷峠という山越えがある。
地図上には、長いトンネルで直線的に越える国道と、明らかにその旧道と分かる蛇行を繰り返す、細い道が描かれている。
今回、私が事前に得ていた情報は、僅かにこれだけ。
地図上に旧道らしい峠がある。 それだけ。
普段は、出来る限り事前に情報を収集してから、「取材」に行くのがスタイルだ。
敢えて山チャリを「取材」と表現した通り、サイトでの紹介を念頭にして、走っている。
先人が発見したポイントや、見所を見逃さず、またサイトでのウリを意識して走り、見ているのだ。
そのことは、期待通りか、時には期待以上の発見をもたらすこともあるし、限られた探索チャンスを有効に使うためには、必要なことだと考えている。
だがしかし、事前調査が、本来のワクワク・ドキドキを損なってしまうということは、悲しいことである。
そんなジレンマに悩む私が、見つけ出した一つの答え。
「遠く。 遠く。」
「余り知らない場所へ行こう。」
「余り知られていない場所へ、行こう。」
そんな気持ちから、仕事の出張の帰り、バスを抜け出し彷徨い出たのは、
ぬるい雨のそぼ降る、夜の南三陸。
未知の歓びが、道に、充ち満ちていた。
雄勝町 新旧道分岐点
青看には、別段通行止などの表示もなく、ただ、行く先の描かれていない細い線だった。
斜面に建つ民家はすぐに途絶え、青々とした杉の森に入る。
真新しい舗装とは不釣り合いの、錆び付いた支柱に、錆び付いた標識。
15分くらい登ると、相変わらず1車線の整備された舗装路の先に、白い大きな建物が見えてきた。
雄勝側登り
ゲートで閉じられた作業林道が右に分かれた途端、「待ってました」の通行止ゲート。
通行止のゲートの行く手は、こんな感じに崖沿いの道である。
すぐにその崩落箇所にたどり着いたが、十分に道幅はあり、これならば自動車すら通行は可能そうだ。
登りはじめから約2kmを越えると、いよいよ峠の鞍部が姿を現した。
傾いた「河北町」の標識が見えてくると、まさにそこがピークである。
| 当サイトは、皆様からの情報提供、資料提供をお待ちしております。 →情報・資料提供窓口 | |
|
このレポートの最終回ないし最新の回の「この位置」に、レポートへのご感想など自由にコメントを入力していただける欄と、いただいたコメントの紹介ページを用意しております。あなたの評価、感想、体験談など、ぜひお寄せください。 【トップページに戻る】 |
|