ミニレポート第307回 青森市都市計画道路3・4・17 八幡林諏訪沢線

所在地 青森県青森市
探索日 2026.06.16
公開日 2026.06.21

 都市計画図に描かれた未成のインターチェンジ


今回は、山行がとしては珍しく、都市計画道路をテーマにしようと思う。

先日、青森市の都市計画図を眺めていたときに、気になる道を見つけたのである。

次の図を見て欲しい。


《周辺地図(マピオン)》

ここは青森駅から東へ8kmほど離れた郊外のエリアだが、まずは最初に表示している最新の地理院地図を見て欲しい。
図の右端付近に青森自動車道の終点である青森東ICがあり、おそらく読者の中にもこれを利用したことがある人が大勢いると思う。

青森自動車道は、起点の青森JCTで東北自動車道と接続し、そこから青森中央ICを経て青森東ICまで伸びる、平成15(2003)年に開通した15.6kmの短距離路線であるが、歴とした高速自動車国道であり、キロポストやインターチェンジ番号も東北自動車道と連続したものになっている。青森中央ICは55、青森東ICは56のインター番号を与えられている。

次に、チェンジ後の画像を見て欲しい。
チェンジ後の画像は、青森市が公開している令和7年最新版の都市計画図の一部である。

この図には、青森東ICから750mほど青森JCT寄りの地点にインターチェンジらしきものがあり、そこから国道4号まで伸びる都市計画道路が描かれていた。
注記によると、この路線は、青森市都市計画道路3・4・17 八幡林諏訪沢線というらしい。
また青森県が公表している資料「青森県の都市計画2025年3月31日現在」には、次のような諸元が掲載されていた。

幅17m、車線数2、全長1160mの道路であり、路線番号を構成する「3・4・17」についても、前者2つの数字にはそれぞれ「幹線街路」「幅員16m以上22m未満」という意味がある。

まずこの時点で私が興味を惹かれたのは、秋田在住の私にとっては比較的近場で何度も利用している青森自動車道に、今まで認識したことがなかった未知のインターチェンジ計画があるらしいという事実に対してであった。

しかも、このようなメジャーな道路に関わる計画(?)でありながら、青森自動車道青森東ICのWikipediaのページには一切情報がなく、その唯一のアクセス道路として計画されているだろう“八幡林諏訪沢線”という都市計画道路の名前で検索しても、前述の諸元くらいしかヒットしないことである。
さらに、国会、青森県議会、青森市議会のいずれの会議録においても、検索可能範囲内にこのインターチェンジや都市計画道路への言及を見つけられなかった。

このインターがなんのために計画されているのかということは、なんとなく想像することが出来るのであるが(本編探索後に解説)、とにかく青森自動車道というメジャーな道路に、ほとんど言及されたことがないインターチェンジの計画が眠り続けていることは、とても興味深い事実だと思った。
が!それだけでなく、もう一つ興味を惹くことがあった。

ここでもう一度、最初の地理院地図と都市計画図の比較を見直してほしいのだが……、画面をスクロールするのは面倒だろうからもう一度掲載するね。次の画像をチェンジさせてみて!(↓)。


ほとんど全く情報がない未知のICへのアクセス道路とみられる都市計画道路八幡林諏訪沢線なのであるが、改めて最新の地理院地図を見てみると、その一部――県道44号青森環状野内線と青森自動車道の間――は、既に若干出現しかかっているように見えるのである。
道路予定地の外縁に沿った側道のようなものが、既にあるのだろうか。とにかく何かある。

さらに、Google Earthの最近の航空写真で同じ場所を見てみると……(↓)


やはり同じ区間が、道の形をした緑地帯のように、周囲から浮き上がって見えた。

これはもう間違いない。

八幡林諏訪沢線自体は完成していないとしても、県道44号以東の道路用地が既に用意されている!


しかし、もしもこのICの計画が大いに既知であったとしたら、私もそこまで興味を持たなかったと思う。
しかし、私の見える範囲では誰も言及していない未知のICの準備施設が、さも当然のように最新の地図や航空写真に写り込んでいるという状態は、大いに私好みで、興味を惹きまくった。

実際の現状を見てきたので、報告しよう。





2026/6/16 17:43 《現在地》

ここが、県道44号と(都)八幡林諏訪沢線の交差予定地だ。
地名としては青森市大字諏訪沢字岩田で、右が起点の国道4号方向、左が終点の青森自動車道方向となる。
全長1160mの八幡林諏訪沢線としては、起点から約850mの地点であるが、まだ1mも供用されていない全線未供用の都市計画道路である。

だが、事前の地形図や航空写真のチェックによって、青森道方向には既に何かの工作物があるように見受けられた。
これから現状を確かめに向かうが、確かにこの時点で1本の狭い道が左折しているのが見える。
一方で、【国道4号方向】にはそういうものはなく、大坂組という企業の社用地になっていて、巨大なクレーンパーツが沢山積み上げられていた。
ここはストビューでも見られるので、周囲を見回してみると良いだろう。

左折する。



県道から左折すると、すぐに未舗装になったが、それでも薄く砂利の敷かれた道が確かに奥へ伸びている。
これは入口からして地理院地図に描かれていない道であるが、確かに道がある。特に封鎖もされていない。
また、狭い砂利道の両側の土地も均されており、路面にはなっていないこれらの部分を合わせると、計画された幅17mという全幅になるかと思う。
チェンジ後の画像に着色したような緩やかな左カーブを描きながら、このようななんとなく見える道路予定地が続いている。

次の写真は、チェンジ後の画像に“★”で示した位置まで進んで撮影した。



17:44

入口から50mほど進んだこの地点(★)は、複雑な交差点になっている。

まずは正面方向に引き続きうっすらと轍のある砂利道が続いている。これは道路用地の中心に沿う形で存在している。
そして、道路用地の左右両側に1本ずつ、側道のような道が出現している。
結論から言うと、これは道路用地の外側ギリギリの位置に並走している。

これらに加えて左右方向にも道があるが、これは道路用地として手が加わる以前からここを横断していた古い生活道路である(県道44号の旧道に相当する)。



文章だけだと分かりづらいと思うので、地図で説明する。

この図にピンク色で示した線は、元の地理院地図には影も形もないが、実際は道路用地の中心に沿ってうっすらと存在している、私が辿った道である。
そしてその両側に側道のような道があり、これは地理院地図にも「軽車道」として描かれているし、南北方向に伸びる道も描かれている。



これは、“左側道”である。
狭いが鋪装されている。
ここからは見えないが“右側道”も全く同じ造りである。

なお、側道というのは私が勝手に書いているだけで、本線が開通した際に、本当に側道として存続するかは分からない。
いずれにしても、幅17mの道路用地の外側にある道路である。



これは左側道の入口から本線と右側道がある方向を撮影した。
右側道は草に遮られていて見通せないが、このように3本の道が綺麗に平行している。

再び“本線”へ戻って、先へ進む。



ああ、良いねぇ!!

なんかワクワクするよ。高規格さを感じる緩やかなカーブや、余裕のある道幅に。
今はまだほとんど誰からも意識されていないこの場所が、いつかは高速道路のランプウェイとして青森市の新しい玄関口になるのかもしれないというのは、夢がある。
その“いつか”が、いつなのかということが大きな注目ポイントだが、それについては本編後の机上調査で……。

前方、森が近づいてきた。



県道から150mほど進むと、道路用地は森に閉ざされはじめた。
が、実はまだこの段階でも、両側には鋪装された側道が付かず離れず並走している。
当然ながら、この森の樹木たちも一度は伐採されて更地になった後で再生したものということになる。成長の早い樹種なのだろうが、それでも10年20年単位で時間が経過していると思う。

ここまで、地図にない道ながら、平然と順調に続いてきたのであったが、前方、何かの山積になった障害物が見えてきた。



17:46 《現在地》

入口から約200m。
道路予定地にある道は、大量の伐木というか廃材というか、とにかくそういうものの山によって遮られてしまった。

この量はただ事ではないが、この土地の管理者(市?)が周辺で生じた建設発生木材などの一次的保管場として使っている感じだろうか。
ここまで立入を規制するものが現れなかったので唐突ではあるのだが、それでもなんとなく納得してしまうくらいには、この道は一般的に道として認識されていない土地だった。

廃材の脇にある草藪を突っ切って先へ進めるかも知れないが、両側の側道の様子も気になるので、一旦最後の分岐地点まで戻り、側道から先へ進めるかを試してみることにする。
一旦撤収。



左側道を迂回中。
地理院地図にも軽車道として描かれている側道は、私の期待に応えてくれた。
交通量が多い感じは全くしない(蜘蛛の巣が張っていた)が、鋪装のおかげで簡単に先へ進ませてくれた。

チェンジ後の画像は、直前に私が引き返した廃木の山である。
森の樹木越しに、その姿を垣間見ることが出来た。
間もなく、廃材のエリアの裏側へ進むことになる。



左側道は、間もなく丁字路に突き当たっている。
電柱が見えている位置で直進路がなくなり、直角に右折できるようになっていた。
右折するということは、そこは本線上(道路用地上)ということである。



17:48 《現在地》

1分ぶりに再会した八幡林諏訪沢線の道路用地である。
ここでは直交方向で対面しているので、向かって右が起点の国道4号方向、左が終点の青森道方向である。
そして道路用地の向こう側を、右側道が並走しているというシチュエーション。

……なんだけど、先ほどまでから一転して、一気に緑が濃くなった。
まあ、6月中旬という時期を考えれば、使われざる道路用地が緑に覆われてしまうのも無理はなかったが。

それと、道路用地を横断する部分だけ道が鋪装されていないのも意味ありげだ。
管理者が違うとか、理由があるんだろうな。



これが、先ほど私の行く手を遮った廃木の山の裏側だ。すなわち、起点方向の眺めである。
一山という感じではなく、数十メートル単位の奥行きを持っている。
側道のおかげで、これを乗り越える苦しみから逃れられた形だ。



そしてこれが、終点である東北道方向の眺め。

遂に封鎖されてしまった!

ガードレールが一枚通せんぼしているだけで、突破して進もうと思えば可能な地形ではあるが、この先はそもそも道として整備された過去がなく、単なる道路予定地として確保されているだけという認識であったから、午後6時前に猛烈な藪へ挑もうという気には全くならず、進まなかった。
クマがいるかも知れんしな。

この先も、道路用地の外縁を迂回しながら、進むことにしよう。



ここで撮影した全天球写真である。
状況が分かりやすいように、いろいろ書き加えてあるので、参考にしてほしい。
(“こんな状況”を把握してなんの役に立つんだというツッコミは無しだぞw)



っと! ここで予想外の障害が!

地理院地図には、右側道がこの先も道路用地に沿って伸びていて、八幡林諏訪沢線の終点まで達しているように描かれているのであったが、実際にはご覧のように、ガードレールで封鎖されている道路用地内と全く同じくらいの激藪化していた。
もちろん、鋪装もされていない。

本当に「軽車道」として描けるような道がここにあるのか気にはなるが、時期を改める必要がありそうだ。
時間も押しているので、この側道からの追跡を断念して、着実に道路予定地と再開できる場所まで“ワープ”することにしよう。

ワープ!!(沖田艦長のボイスで)






17:54 

…………ワープアウト!

近隣の市道を迂回して、3・4・17 八幡林諏訪沢線が青森自動車道と接続する“謎のインター”予定地付近へやって来た。
都市計画図によれば、画像に赤線で描いたような2本のランプウェイが計画されているようだが、チェンジ後の画像である航空写真を見れば明らかなように、このランプウェイもまだ建設はされていない。

ただ、青森自動車道側には、接続への準備施設とまではいえないと思うが、“謎の膨らみ”があることが見て取れる。
ストビューで見ると、「非常時回転場」という案内がされているようだ。
現在の青森自動車道は暫定2車線供用中なので、将来4車線化すれば本線に組み込まれる敷地である。



“謎の膨らみ”を、地上の道路側から見ると、こんな風に見える。
築堤と高い防音壁のコンビで、路上の様子は全く見通せない。
しかしともかくこの場所にインターチェンジが設置される計画がある。



そしてこの“謎の膨らみ”から、1本の“草生した築堤”が始まっている。

言うまでもなく、これが八幡林諏訪沢線に繋がる予定の道路用地である。
この辺りは既に八幡林諏訪沢線の終点を過ぎており、青森自動車道側の用地になっている。
そのために立入りの規制も念入りで、東日本高速道路名義のフェンスによって行われている。



17:55 《現在地》

側道のような市道をさらに進むと、すぐにこの“草生した築堤”と交差する。
向かって右が青森自動車道、左が国道4号方向である。
将来、ランプウェイが建設されれば当然ここは立体交差(暗渠)になるのだろうが、現状では掘割のように築堤を割って越えている。



右も左も、東日本高速道路のフェンスによって厳重に封鎖されている。
チェンジ前の画像が右、チェンジ後の画像が左のフェンスの様子だ。

このような状況なので道路用地に立ち入ることは出来ないが、よく見るとフェンスの向こうにある築堤の形は一様でなく、緩やかなスロープ状になっている部分がある。
したがって、もしフェンスさえなければ車輌が出入り出来る構造になっていると思う。
逆に言えば、フェンスが固定式ということで、もはやここを通すつもりはないのである。

この後も周辺を多少探ってみたが、フェンスや藪が邪魔をしていて、道路用地に入って中を確かめられるような場所はなかった。
ワープ前に遭遇した【ガードレール封鎖】の先へ進めば、八幡林諏訪沢線の終点部分まで辿り着くことはできそうなので、今後藪の浅い時期に再訪してみるつもりである。



藪やフェンスのために路上から見える範囲が限られていて、ちょっとばかり消化不良になったと思うので、その解消のためにドローン映像を追加しておく。
飛行地点は、レポートの最終地点と同じで、真上に90mほど打ち上げてから、周囲を見回して、そのままスタート地点に下降着陸している。
この一連の動画の中で、地表に連なる帯状の道路用地がグリーンベルトのように見えるので、確認して欲しい。


今回の探索は以上である。
この後は、おそらく今回はこちらの方が皆さまが楽しみにしていたと思われる、机上調査編だ。



 机上調査編 〜八幡林諏訪沢線と“謎のインター”の正体は〜


最初にも書いたとおり、青森市の都市計画図に描かれている都市計画道路八幡林諏訪沢線と、その終点に接続している青森自動車道の“謎のインター”について、その正体に関わる文献的な情報を全く見つけることが出来ていない。
公開されている市議会、県議会などの議事録にも、関係すると思われる内容は全くなかった。
はっきりしているのは、これらが青森市の都市計画に現在存在し続けているという事実だけだ。

なのでこれから述べる“正体”は、私の推測である。





ずばり、八幡林諏訪沢線と“謎インター”の正体は――


東北縦貫自動車道八戸線の延伸開通時に使用される見込みのハーフインターである。


これからそのように考える根拠を述べる。

私の推理する将来像をイメージして描いた地図を見て貰いながら、話を進めよう。(↓)


チェンジ前の画像は「現在」の状況を描いている。

青森自動車道の終点は青森東ICで、そこから一般道路を介してみちのく有料道路を利用することで、天間林・八戸方面への最短ルートとなっている。
現在、みちのく有料道路は青森県道路公社が管理する一般有料道路であり、高速自動車国道ではないし、自動車専用道路でもないが、青森自動車道とともに「E4A」高速道路ナンバリングがふられており、青森自動車道、八戸自動車道などと一体のものという案内がなされている。

一方、チェンジ後の画像は、今回探索した未成ICが利用されている「将来」の予想図である。
この予想図に描いたものが、私が想像する次のような“将来の完成形”である。

すなわち、青森自動車道は青森東ICから延伸され、みちのく有料道路ないし、その代替となる新設の自動車専用道路に直結する。
現在の青森東ICは廃止され、その前後の位置に、青森方向と八戸方向へそれぞれ接続する2つのハーフインターが設置される。
八幡林諏訪沢線は、青森側のハーフインターと国道4号ならび県道44号を結ぶ役割を担う道路となる。


……それでは、私が上記のように予想した根拠を述べていこう。

まずは大前提となる、現在の青森東IC以東の高速道路の計画の有無であるが、ご存知の方も多いと思うが、これはちゃんと存在している。


上図は青森県が公表する令和8(2026)年4月現在青森県主要幹線道路網図の一部であるが、“赤矢印”を付けた位置に青森東ICがあり、その東側にみちのく有料道路が描かれているが、それとは別に「高規格幹線道路の基本計画」を示すラインが八戸まで伸びているのが分かる。

ここは東北縦貫自動車道八戸線の基本計画区間になっており、既に八戸側から百石道路、第二みちのく有料道路、上北自動車道、みちのく有料道路などが並行路線(A’路線)として供用されているが、この中でみちのく有料道路だけは自動車専用道路として設計されていない古い道路であり、かつ前後に一般道路を含んでいることから、将来的に高規格道路に相応しい道路への改築(あるいは別路線の新設)が構想されているものと考えられる。

この、みちのく有料道路方向への青森自動車道の延伸・直結については、未だ構想段階であり、具体化はしていないが、その将来の実現を見越して八幡林諏訪沢線が都市計画決定されている。


青森市の都市計画において、現在の青森東ICは将来的に廃止され、二つの(ハーフ)インターに置き換えられることが想定されていると考える根拠をさらに述べよう。

今回探索したのは全線未供用である都市計画道路 3・4・17 八幡林諏訪沢線であるが、供用中の青森自動車道にも都市計画道路としての路線名がある。1・3・1 諏訪沢三内線という。


上の図は青森市が公表している都市計画の決定・変更関係(平成23年度)の一部で、1・3・1 諏訪沢三内線の諸元をまとめた部分だ。
この中の“赤枠”で囲った2ヶ所に注目してほしい。

1ヶ所目は、「幹線街路3・4・17号と平面交差1箇所」という表記。
青森自動車道は自動車専用道路であるから、他の道路との交差は基本的に立体交差である。平面交差ということは、接続施設(IC)によって3・4・17号(今回探索の道路)と接続することを示唆している。

2ヶ所目は次のように書いてある。

なお、青森市大字諏訪沢字松代地内に出口1箇所・入口1箇所。
   青森市大字三本木字扇沢地内に出口1箇所・入口1箇所。
   青森市大字荒川字成瀬地内に出口1箇所・入口1箇所を設ける。

これは1・3・1 諏訪沢三内線のICの配置について書いている。
供用中の青森自動車道には青森中央ICと青森東ICの2ヶ所しかICはないが、ここには3ヶ所の出入口が書いてある。1ヶ所多い。
掲載されている地名を見ると、どこに未知のICを増設しようとしているのかが読み取れる。

3番目の「青森市大字荒川字成瀬地内」は、現在の青森中央ICの所在地である。
1番目「青森市大字諏訪沢字松代地内」と2番目「青森市大字三本木字扇沢地内」はどこかというのがポイントになる。


全国地価マップで諏訪沢字松代と三本木字扇沢の範囲をそれぞれ調べて都市計画図上に示したのがこの図だ。
前者が紫、後者が桃色のエリアである。

現在の青森自動車道は、三本木字山崎にある青森東ICで県道47号青森東インター線に接続して終わっているが、そこからみちのく道路方向へ数百メートル進んだ三本木字扇沢に 1・3・1 諏訪沢三内線のICを設置することが都市計画に織り込まれていたのである。
そして、諏訪沢字松代というのが今回探索したIC予定地に合致する。

諏訪沢字松代と三本木字扇沢に設置されるインターは、いずれもハーフインターになるものと想像する。
根拠は、都市計画図上に描かれている諏訪沢字松代のランプウェイの形状が、そう見えるのである。
ここには明らかに3・4・17号から青森方面へのオンランプと、青森方面から3・4・17号へのオフランプしかなく、これはハーフICということになろう。
となると、位置的に見て三本木字扇沢に設置されるのは、これと対になる八戸方面のみのハーフインターだと思う。


以上のような根拠により、八幡林諏訪沢線と“謎インター”の正体は、東北縦貫自動車道八戸線の延伸開通時に使用されるハーフインターとそのアクセス道路だと考えたのであった。

なお、これはただの余談的妄想であるが、このようにハーフインターが2つになった後のIC名はどうなるだろうか。
これについては、今回探索した箇所に設置されるICを青森東ICとして襲名させるのは、ありそうな気がする。
で、三本木字扇沢に設置されるものには、新たに野内浅虫ICなんて名付けがあっても良さそうだ。
現在の青森東ICと国道4号を結んでいる県道47号青森東インター線は、開通した都市計画道路3・4・17へ、そっくりそのまま移し替えても良さそうだ。




続いて、歴代の航空写真を見てみよう。
この調査によって、予想外の重要な事実を知ることになった。
@
平成23(2011)年
A
平成15(2003)年
B
平成13(2001)年
C
平成8(1996)年

@平成23(2011)年版は、ほぼ現在の状況が撮されている。
県道と青森自動車道を結ぶ未成の道路用地が、グリーンベルトのような感じでくっきりと見えている。

A平成15(2003)年版は、青森自動車道開通直後の風景である。
画面右上が青森東ICで、川を渡ったところで県道47号と接続しているが、実は県道と高速自動車国道の境界は左岸の橋の袂であり、本線と地続きに見える橋(三本木橋)は県道47号の自動車専用道路という扱いである。

それはともかく、この時点で今回探索した道路用地がはっきりと見えている。
いやそれどころか、現在よりも遙かに道形が鮮明で、後は鋪装とランプウェイの建設さえすれば新たなICとして開通出来そうに見える。
このようなことから、3・4・17 八幡林諏訪沢線の計画は、青森自動車道建設当初より存在していたことが分かったのであるが、それ以上の気づきが次のBにあった。

B平成13(2001)年版は、青森自動車道建設中の状況が撮されているが、お分かりいただけただろうか。

今回探索した未成道が、工事用道路として立派に活躍しているのである。
このことは、路面に刻まれた轍の鮮明さや、青森自動車道との接続部分に見えるスロープや轍、そしてこの時点では前述の三本木橋が未完成で、県道47号側からは工事進入ができなかった状況などから判断できる。

繰り返すが、3・4・17 八幡林諏訪沢線は、青森自動車道の工事用道路として今から四半世紀前には活躍していた。
その道が、青森自動車道の開通を見届けると同時に眠りにつき、本編で見た通り、今ではすっかり大木の茂る森へと還っている。
そして、未だ基本計画のままで具体化の見えない東北縦貫自動車道八戸線延伸の時を、ひっそりと待ち続けている……!

これを知ったことで、私はますますこの道を愛おしく感じた。


みちのく有料道路の路上風景。これで「E4A」。

最後のC平成8(1996)年版には、まだ青森自動車道も、今回の未成道も、全く見えない。
青森県のこちらのページに、県内の東北縦貫自動車道八戸線の整備経過がまとめられているが、現在青森自動車道の名称で供用されている区間は平成元(1989)年に基本計画が決定し、平成4(1992)年整備計画決定、平成5(1993)年施工命令となって、10年後の平成15(2003)年に供用開始している。

さらに青森東ICから先、天間林に至る現在のみちのく有料道路にかかる区間についても、平成9(1997)年に基本計画が決定しているだけで、再三述べているように、整備計画が未決定である。着工命令が出るのは、その後の話である。

今後の長期的な見通しはどうなっているのだろう。情報は乏しい。
青森市が公表する令和4(2022)年版の都市計画マスタープランにも、全く触れられていなかった。
果たして、青森県や国は、制限速度60kmで自転車や歩行者も通行可能なみちのく有料道路(トンネル内のみ自転車と歩行者は通行禁止だが)をいつまで「E4A」として使用し続けるつもりなのか。


 気が早すぎる道路地図があったぞwww


『スイスイ走りやすさマップ全国版』(武揚堂/2008年初版)より

今回いろいろと調査する中で、八幡林諏訪沢線の計画がいつからあったのかを探るために、自宅にあるいろいろな年代の道路地図を見てみたのだが、武揚堂が平成20(2008)年に発行した初版の『スイスイ走りやすさマップ全国版』という地図が、なんと青森東ICを右図のように描いていた!

見ての通り、今回探索した未成のICがすっかり完成しているのである。
なんという、早とちりのうっかりさんだろうかwww
この地図を見て現地行ったら、「インターなんか無いじゃないか!」ってなるの草すぎるw

『スイスイ走りやすさマップ全国版』は現在絶版になっているが、道路マニア的には注目すべき特徴がある地図だった。
この地図、縮尺は大きくなくて詳細さはイマイチだが、妙に道路の計画線が多く表記されていたのである。
おそらく元にしているのが各県の管内図なんだと思う。管内図に描かれているような道路計画線が大抵この地図には反映されていた。なので、道路計画好きなら是非とも手に入れて損のない1冊となっているぞ。

……以上、勝手な宣伝でした。


 『The INTERCHANGE』で、“予想”の答え合わせができた!
2026/7/28追記

秋田県立図書館の書庫に凄まじい資料があった!

それは、令和6(2024)年10月に道路文化研究所が発行した『The INTERCHANGE 東北の高速道路インターチェンジの計画経緯と機能を語り継ぐ』という、タイトルからして異常な使命感を感じさせるマニアックすぎる(当然誉めています)200頁オーバーの大著である。著者の阿部公一氏は日本道路公団や東日本高速道路のOBで、万世大路研究会の代表でもある。(私も以前お会いしまして、その節は大変お世話になりました)

本書は残念ながら非売品で、館外持ち出し不可の資料であったが、東北地方に所在するほぼ全てのICの計画経緯が個別にまとめられており、当然、私が色々と資料をかき集めて“予想”(もうなんか“推理”という言葉を使うのが恥ずかしくなってきたよ…苦笑)をこねくり回した青森東ICの背景についても、ずばりの“解答”があったので、追記としてここに紹介しよう。

ではさっそく。


青森自動車道の東端(692.5 KP附近)にある青森東ICは、現在、暫定供用中である。(中略)
青森県は十和田湖を外周するかのような大環状高速道路を実現すべく、青森東IC〜上北道路天間林IC間のミッシングリンクの整備を目指して調査を行っている。現在、青森自動車道の東端が県道とT字型に平面交差しているが、当該区間が完成した際には、青森自動車道の東端部は新たな完成区間と直接本線接続するとともに、県道青森環状野内線にも接続する。

『The INTERCHANGE 東北の高速道路インターチェンジの計画経緯と機能を語り継ぐ』より

『The INTERCHANGE 東北の高速道路インターチェンジの計画経緯と機能を語り継ぐ』より

私が予想した内容とほぼ同じことが述べられている。予想は正しかった。意外性はないが、これからは予想ではなく事実として語れる。この差はとても大きい。

右図は同書に引用されていたもので、平成8(1996)年10月に作成された日本道路公団青森工事事務所のパンフレットであるという。青森自動車道が開通する7年前で、盛んに建設が進められていた時期のものである。

青森東ICがまだ仮称になっているが、赤く太く描かれている本線は、692.5KPの位置にある「青森東IC中心箇所」までで、そこから真っ直ぐに本線を延伸して県道44号青森東インター線へ接続するランプウェイと、本線から西に分岐して県道47号青森環状野内線へ接続するランプウェイの2本が描かれている。
しかし、平成15(2003)年の開通時に整備されたのは前者だけで、後者は未整備のまま今回探索の道路用地として残った。

そうなった裏事情が、続く本文に次のように述べられていた。
今度は私が予想しない内容が含まれていた。

日本道路公団(当時)は、ミッシングリンクの解消とネットワーク化を見越して、将来の青森東IC位置を692.5KP附近とし、県道青森環状野内線に接続するに必要なランプの用地まで確保した。
計画では、当初より県道青森環状野内線にも同時接続を予定していたが、公団民営化問題で事業費削減を目指し、みちのく有料道路側(県道青森東インター線)にタッチするのみに変更された。将来のインターチェンジ完成予定地は今、雑木林になっていて、早くインターチェンジが完成するのを待っている。

『The INTERCHANGE 東北の高速道路インターチェンジの計画経緯と機能を語り継ぐ』より

日本道路公団は開通時点で両方のランプを供用する計画をしていたが、公団民営化問題に伴う事業費削減の必要性から、建設の途中で片方を削ったというのだ。
私は、片方のランプは将来計画として当初から用地だけが用意されたものだと考えていたが、そうではなかった。
もしも公団の民営化がなければ、平成15年の青森自動車道開通時点で青森東ICは珍しいダブルランプICとして供用され、今回探索した道路用地もフル活用されていたのだ。

そのうえで、将来のみちのく有料道路方面への延伸が実現したら、丁字路で一般道と接続するランプ(暫定供用)を撤去し、そこを新たな本線にする目論見だったという。そこは予想の通りである。

青森東ICの位置は県道とのT字平面交差箇所と思いがちだが、青森自動車道の建設施工命令区間は紛れもなく692.5KP附近まで。その先の県道接続地点までは青森東ICのランプ扱いであって、このランプ部は青森県の管理区域であって、その除雪は青森県と契約した会社が行っている。

『The INTERCHANGE 東北の高速道路インターチェンジの計画経緯と機能を語り継ぐ』より

これも新情報だ。

青森自動車道上の692.5KP(川口ICから692.5kmキロポスト)附近が青森東ICの位置(高速道路会社管理区間の末端)であり、そこから県道47号青森東インター線との平面交差点まで500mほど続く、見た目では本線と区別できない道路は、実は青森東ICのランプウェイであり、青森県が管理しているのだという。

県の資料も調べてみると、右図のようになっている。
日本の高速道路上で見られる最大のキロポスト「692.9」がある場所はランプウェイで、しかもそのほんの少し先で野内川を渡る三本木橋は、青森自動車道のランプでさえなく県道47号青森東インター線の橋であった。

ストビューで見ると、確かに692.9KPのすぐ先でガードレールが変化し、対向車線には自動車専用の道路標識が建っているなど、そこが県道との境であることが分かる。しかし、692.5KP〜692.9KPは、見た目で本線とは区別が付かない。

このように、青森東ICの法令上の位置が692.5KPという中途半端な場所にある原因も、ダブルランプだった当初の計画(現在は将来構想か)に由来しているのである。



『The INTERCHANGE 東北の高速道路インターチェンジの計画経緯と機能を語り継ぐ』より

この図も同書の引用で、「建設省予備設計報告書を基に日本道路公団が行った青森東IC形式比較検討資料」に掲載された、青森東ICの設計図だ。

本編に掲載した青森市の都市計画図とはランプの形状が違うが(こちらがより初期の計画だろう)、ハーフインターであることは共通している。
またこの設計では、青森中央IC寄りに本線料金所の設置が想定されていたことも分かる(実際は青森中央IC附近に設置された)。




高速自動車国道の本州における最北端にして、高速道路中で最大のキロポストを有する青森東ICは、公団末期の節減と青森県が夢見る大環状高速道路構想の鬩ぎ合いが生んだ、実際の姿ほどシンプルではない、発展途上のインターチェンジだった。




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