最初にも書いたとおり、青森市の都市計画図に描かれている都市計画道路八幡林諏訪沢線と、その終点に接続している青森自動車道の“謎のインター”について、その正体に関わる文献的な情報を全く見つけることが出来ていない。
公開されている市議会、県議会などの議事録にも、関係すると思われる内容は全くなかった。
はっきりしているのは、これらが青森市の都市計画に現在存在し続けているという事実だけだ。
なのでこれから述べる“正体”は、私の推測である。
ずばり、八幡林諏訪沢線と“謎インター”の正体は――
東北縦貫自動車道八戸線の延伸開通時に使用される見込みのハーフインターである。
これからそのように考える根拠を述べる。
私の推理する将来像をイメージして描いた地図を見て貰いながら、話を進めよう。(↓)
チェンジ前の画像は「現在」の状況を描いている。
青森自動車道の終点は青森東ICで、そこから一般道路を介してみちのく有料道路を利用することで、天間林・八戸方面への最短ルートとなっている。
現在、みちのく有料道路は青森県道路公社が管理する一般有料道路であり、高速自動車国道ではないし、自動車専用道路でもないが、青森自動車道とともに「E4A」高速道路ナンバリングがふられており、青森自動車道、八戸自動車道などと一体のものという案内がなされている。
一方、チェンジ後の画像は、今回探索した未成ICが利用されている「将来」の予想図である。
この予想図に描いたものが、私が想像する次のような“将来の完成形”である。
すなわち、青森自動車道は青森東ICから延伸され、みちのく有料道路ないし、その代替となる新設の自動車専用道路に直結する。
現在の青森東ICは廃止され、その前後の位置に、青森方向と八戸方向へそれぞれ接続する2つのハーフインターが設置される。
八幡林諏訪沢線は、青森側のハーフインターと国道4号ならび県道44号を結ぶ役割を担う道路となる。
……それでは、私が上記のように予想した根拠を述べていこう。
まずは大前提となる、現在の青森東IC以東の高速道路の計画の有無であるが、ご存知の方も多いと思うが、これはちゃんと存在している。
上図は青森県が公表する令和8(2026)年4月現在青森県主要幹線道路網図の一部であるが、“赤矢印”を付けた位置に青森東ICがあり、その東側にみちのく有料道路が描かれているが、それとは別に「高規格幹線道路の基本計画」を示すラインが八戸まで伸びているのが分かる。
ここは東北縦貫自動車道八戸線の基本計画区間になっており、既に八戸側から百石道路、第二みちのく有料道路、上北自動車道、みちのく有料道路などが並行路線(A’路線)として供用されているが、この中でみちのく有料道路だけは自動車専用道路として設計されていない古い道路であり、かつ前後に一般道路を含んでいることから、将来的に高規格道路に相応しい道路への改築(あるいは別路線の新設)が構想されているものと考えられる。
この、みちのく有料道路方向への青森自動車道の延伸・直結については、未だ構想段階であり、具体化はしていないが、その将来の実現を見越して八幡林諏訪沢線が都市計画決定されている。
青森市の都市計画において、現在の青森東ICは将来的に廃止され、二つの(ハーフ)インターに置き換えられることが想定されていると考える根拠をさらに述べよう。
今回探索したのは全線未供用である都市計画道路 3・4・17 八幡林諏訪沢線であるが、供用中の青森自動車道にも都市計画道路としての路線名がある。1・3・1 諏訪沢三内線という。
上の図は青森市が公表している都市計画の決定・変更関係(平成23年度)の一部で、1・3・1 諏訪沢三内線の諸元をまとめた部分だ。
この中の“赤枠”で囲った2ヶ所に注目してほしい。
1ヶ所目は、「幹線街路3・4・17号と平面交差1箇所」という表記。
青森自動車道は自動車専用道路であるから、他の道路との交差は基本的に立体交差である。平面交差ということは、接続施設(IC)によって3・4・17号(今回探索の道路)と接続することを示唆している。
2ヶ所目は次のように書いてある。
なお、青森市大字諏訪沢字松代地内に出口1箇所・入口1箇所。
青森市大字三本木字扇沢地内に出口1箇所・入口1箇所。
青森市大字荒川字成瀬地内に出口1箇所・入口1箇所を設ける。
これは1・3・1 諏訪沢三内線のICの配置について書いている。
供用中の青森自動車道には青森中央ICと青森東ICの2ヶ所しかICはないが、ここには3ヶ所の出入口が書いてある。1ヶ所多い。
掲載されている地名を見ると、どこに未知のICを増設しようとしているのかが読み取れる。
3番目の「青森市大字荒川字成瀬地内」は、現在の青森中央ICの所在地である。
1番目「青森市大字諏訪沢字松代地内」と2番目「青森市大字三本木字扇沢地内」はどこかというのがポイントになる。
全国地価マップで諏訪沢字松代と三本木字扇沢の範囲をそれぞれ調べて都市計画図上に示したのがこの図だ。
前者が紫、後者が桃色のエリアである。
現在の青森自動車道は、三本木字山崎にある青森東ICで県道47号青森東インター線に接続して終わっているが、そこからみちのく道路方向へ数百メートル進んだ三本木字扇沢に 1・3・1 諏訪沢三内線のICを設置することが都市計画に織り込まれていたのである。
そして、諏訪沢字松代というのが今回探索したIC予定地に合致する。
諏訪沢字松代と三本木字扇沢に設置されるインターは、いずれもハーフインターになるものと想像する。
根拠は、都市計画図上に描かれている諏訪沢字松代のランプウェイの形状が、そう見えるのである。
ここには明らかに3・4・17号から青森方面へのオンランプと、青森方面から3・4・17号へのオフランプしかなく、これはハーフICということになろう。
となると、位置的に見て三本木字扇沢に設置されるのは、これと対になる八戸方面のみのハーフインターだと思う。
以上のような根拠により、八幡林諏訪沢線と“謎インター”の正体は、東北縦貫自動車道八戸線の延伸開通時に使用されるハーフインターとそのアクセス道路だと考えたのであった。
なお、これはただの余談的妄想であるが、このようにハーフインターが2つになった後のIC名はどうなるだろうか。
これについては、今回探索した箇所に設置されるICを青森東ICとして襲名させるのは、ありそうな気がする。
で、三本木字扇沢に設置されるものには、新たに野内浅虫ICなんて名付けがあっても良さそうだ。
現在の青森東ICと国道4号を結んでいる県道47号青森東インター線は、開通した都市計画道路3・4・17へ、そっくりそのまま移し替えても良さそうだ。
続いて、歴代の航空写真を見てみよう。
この調査によって、予想外の重要な事実を知ることになった。
| @ 平成23(2011)年 |
|
|---|---|
| A 平成15(2003)年 | |
| B 平成13(2001)年 | |
| C 平成8(1996)年 |
@平成23(2011)年版は、ほぼ現在の状況が撮されている。
県道と青森自動車道を結ぶ未成の道路用地が、グリーンベルトのような感じでくっきりと見えている。
A平成15(2003)年版は、青森自動車道開通直後の風景である。
画面右上が青森東ICで、川を渡ったところで県道47号と接続しているが、実は県道と高速自動車国道の境界は左岸の橋の袂であり、本線と地続きに見える橋(三本木橋)は県道47号の自動車専用道路という扱いである。
それはともかく、この時点で今回探索した道路用地がはっきりと見えている。
いやそれどころか、現在よりも遙かに道形が鮮明で、後は鋪装とランプウェイの建設さえすれば新たなICとして開通出来そうに見える。
このようなことから、3・4・17 八幡林諏訪沢線の計画は、青森自動車道建設当初より存在していたことが分かったのであるが、それ以上の気づきが次のBにあった。
B平成13(2001)年版は、青森自動車道建設中の状況が撮されているが、お分かりいただけただろうか。
今回探索した未成道が、工事用道路として立派に活躍しているのである。
このことは、路面に刻まれた轍の鮮明さや、青森自動車道との接続部分に見えるスロープや轍、そしてこの時点では前述の三本木橋が未完成で、県道47号側からは工事進入ができなかった状況などから判断できる。
繰り返すが、3・4・17 八幡林諏訪沢線は、青森自動車道の工事用道路として今から四半世紀前には活躍していた。
その道が、青森自動車道の開通を見届けると同時に眠りにつき、本編で見た通り、今ではすっかり大木の茂る森へと還っている。
そして、未だ基本計画のままで具体化の見えない東北縦貫自動車道八戸線延伸の時を、ひっそりと待ち続けている……!
これを知ったことで、私はますますこの道を愛おしく感じた。

みちのく有料道路の路上風景。これで「E4A」。
最後のC平成8(1996)年版には、まだ青森自動車道も、今回の未成道も、全く見えない。
青森県のこちらのページに、県内の東北縦貫自動車道八戸線の整備経過がまとめられているが、現在青森自動車道の名称で供用されている区間は平成元(1989)年に基本計画が決定し、平成4(1992)年整備計画決定、平成5(1993)年施工命令となって、10年後の平成15(2003)年に供用開始している。
さらに青森東ICから先、天間林に至る現在のみちのく有料道路にかかる区間についても、平成9(1997)年に基本計画が決定しているだけで、再三述べているように、整備計画が未決定である。着工命令が出るのは、その後の話である。
今後の長期的な見通しはどうなっているのだろう。情報は乏しい。
青森市が公表する令和4(2022)年版の都市計画マスタープランにも、全く触れられていなかった。
果たして、青森県や国は、制限速度60kmで自転車や歩行者も通行可能なみちのく有料道路(トンネル内のみ自転車と歩行者は通行禁止だが)をいつまで「E4A」として使用し続けるつもりなのか。
気が早すぎる道路地図があったぞwww

『スイスイ走りやすさマップ全国版』(武揚堂/2008年初版)より
今回いろいろと調査する中で、八幡林諏訪沢線の計画がいつからあったのかを探るために、自宅にあるいろいろな年代の道路地図を見てみたのだが、武揚堂が平成20(2008)年に発行した初版の『スイスイ走りやすさマップ全国版』という地図が、なんと青森東ICを右図のように描いていた!
見ての通り、今回探索した未成のICがすっかり完成しているのである。
なんという、早とちりのうっかりさんだろうかwww
この地図を見て現地行ったら、「インターなんか無いじゃないか!」ってなるの草すぎるw
『スイスイ走りやすさマップ全国版』は現在絶版になっているが、道路マニア的には注目すべき特徴がある地図だった。
この地図、縮尺は大きくなくて詳細さはイマイチだが、妙に道路の計画線が多く表記されていたのである。
おそらく元にしているのが各県の管内図なんだと思う。管内図に描かれているような道路計画線が大抵この地図には反映されていた。なので、道路計画好きなら是非とも手に入れて損のない1冊となっているぞ。
……以上、勝手な宣伝でした。
『The INTERCHANGE』で、“予想”の答え合わせができた! 2026/7/28追記
秋田県立図書館の書庫に凄まじい資料があった!
それは、令和6(2024)年10月に道路文化研究所が発行した『The INTERCHANGE 東北の高速道路インターチェンジの計画経緯と機能を語り継ぐ』という、タイトルからして異常な使命感を感じさせるマニアックすぎる(当然誉めています)200頁オーバーの大著である。著者の阿部公一氏は日本道路公団や東日本高速道路のOBで、万世大路研究会の代表でもある。(私も以前お会いしまして、その節は大変お世話になりました)
本書は残念ながら非売品で、館外持ち出し不可の資料であったが、東北地方に所在するほぼ全てのICの計画経緯が個別にまとめられており、当然、私が色々と資料をかき集めて“予想”(もうなんか“推理”という言葉を使うのが恥ずかしくなってきたよ…苦笑)をこねくり回した青森東ICの背景についても、ずばりの“解答”があったので、追記としてここに紹介しよう。
ではさっそく。
青森自動車道の東端(692.5 KP附近)にある青森東ICは、現在、暫定供用中である。(中略)
青森県は十和田湖を外周するかのような大環状高速道路を実現すべく、青森東IC〜上北道路天間林IC間のミッシングリンクの整備を目指して調査を行っている。現在、青森自動車道の東端が県道とT字型に平面交差しているが、当該区間が完成した際には、青森自動車道の東端部は新たな完成区間と直接本線接続するとともに、県道青森環状野内線にも接続する。

『The INTERCHANGE 東北の高速道路インターチェンジの計画経緯と機能を語り継ぐ』より
私が予想した内容とほぼ同じことが述べられている。予想は正しかった。意外性はないが、これからは予想ではなく事実として語れる。この差はとても大きい。
右図は同書に引用されていたもので、平成8(1996)年10月に作成された日本道路公団青森工事事務所のパンフレットであるという。青森自動車道が開通する7年前で、盛んに建設が進められていた時期のものである。
青森東ICがまだ仮称になっているが、赤く太く描かれている本線は、692.5KPの位置にある「青森東IC中心箇所」までで、そこから真っ直ぐに本線を延伸して県道44号青森東インター線へ接続するランプウェイと、本線から西に分岐して県道47号青森環状野内線へ接続するランプウェイの2本が描かれている。
しかし、平成15(2003)年の開通時に整備されたのは前者だけで、後者は未整備のまま今回探索の道路用地として残った。
そうなった裏事情が、続く本文に次のように述べられていた。
今度は私が予想しない内容が含まれていた。
日本道路公団(当時)は、ミッシングリンクの解消とネットワーク化を見越して、将来の青森東IC位置を692.5KP附近とし、県道青森環状野内線に接続するに必要なランプの用地まで確保した。
計画では、当初より県道青森環状野内線にも同時接続を予定していたが、公団民営化問題で事業費削減を目指し、みちのく有料道路側(県道青森東インター線)にタッチするのみに変更された。将来のインターチェンジ完成予定地は今、雑木林になっていて、早くインターチェンジが完成するのを待っている。
日本道路公団は開通時点で両方のランプを供用する計画をしていたが、公団民営化問題に伴う事業費削減の必要性から、建設の途中で片方を削ったというのだ。
私は、片方のランプは将来計画として当初から用地だけが用意されたものだと考えていたが、そうではなかった。
もしも公団の民営化がなければ、平成15年の青森自動車道開通時点で青森東ICは珍しいダブルランプICとして供用され、今回探索した道路用地もフル活用されていたのだ。
そのうえで、将来のみちのく有料道路方面への延伸が実現したら、丁字路で一般道と接続するランプ(暫定供用)を撤去し、そこを新たな本線にする目論見だったという。そこは予想の通りである。
青森東ICの位置は県道とのT字平面交差箇所と思いがちだが、青森自動車道の建設施工命令区間は紛れもなく692.5KP附近まで。その先の県道接続地点までは青森東ICのランプ扱いであって、このランプ部は青森県の管理区域であって、その除雪は青森県と契約した会社が行っている。
これも新情報だ。
青森自動車道上の692.5KP(川口ICから692.5kmキロポスト)附近が青森東ICの位置(高速道路会社管理区間の末端)であり、そこから県道47号青森東インター線との平面交差点まで500mほど続く、見た目では本線と区別できない道路は、実は青森東ICのランプウェイであり、青森県が管理しているのだという。
県の資料も調べてみると、右図のようになっている。
日本の高速道路上で見られる最大のキロポスト「692.9」がある場所はランプウェイで、しかもそのほんの少し先で野内川を渡る三本木橋は、青森自動車道のランプでさえなく県道47号青森東インター線の橋であった。
ストビューで見ると、確かに692.9KPのすぐ先でガードレールが変化し、対向車線には自動車専用の道路標識が建っているなど、そこが県道との境であることが分かる。しかし、692.5KP〜692.9KPは、見た目で本線とは区別が付かない。
このように、青森東ICの法令上の位置が692.5KPという中途半端な場所にある原因も、ダブルランプだった当初の計画(現在は将来構想か)に由来しているのである。

『The INTERCHANGE 東北の高速道路インターチェンジの計画経緯と機能を語り継ぐ』より
この図も同書の引用で、「建設省予備設計報告書を基に日本道路公団が行った青森東IC形式比較検討資料」に掲載された、青森東ICの設計図だ。
本編に掲載した青森市の都市計画図とはランプの形状が違うが(こちらがより初期の計画だろう)、ハーフインターであることは共通している。
またこの設計では、青森中央IC寄りに本線料金所の設置が想定されていたことも分かる(実際は青森中央IC附近に設置された)。
高速自動車国道の本州における最北端にして、高速道路中で最大のキロポストを有する青森東ICは、公団末期の節減と青森県が夢見る大環状高速道路構想の鬩ぎ合いが生んだ、実際の姿ほどシンプルではない、発展途上のインターチェンジだった。
