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2023/10/31 7:02 《現在地》
ひとしきり以上オフロードを登って、ちょっと足が疲れたぞ、そろそろ一回休もうかと思ったところで、ちょうどピークへ達した。
ポンベツ川から40〜50mの高さで尾根を超える。
そしてこの場所を境に川の向きが大きく変化し、溯上する私は北から西へと進路を転じる。
東の山から登ってきた朝日が、このタイミングで初めて私を照らしたが、すぐさま背を向けることになった。
で、この直後……
7:03
“幻の道”と2度目の交差。
チェンジ後の画像が、スマホの画面を見たその場所で、前方を撮影したもの。
もちろん、“幻の道”は幻である。
道路管理者には、幻を描く前に現道を何とかして欲しいところだが、それをするつもりがないことは、ここまでの状況から重々承知。
“幻の道”は、誰かが夢見た未来の完成形である。
その前提で、SMDに描かれた線形を風景上に再現してみたところ、ちょっと引くレベルに壮大な道が出現してしまった。
いったいどんな「if」が働けば、この壮大過ぎる幻は実現したのだろう。
夢の真相は、机上調査で明らかに――。
7:06
ピークを過ぎた道は急激に下り、直前に登った分をあっという間に全て吐き出すと、前にも見たような広い植林地に降り立った。
この場所では、見知らぬ綺麗な鳥が人なつっこく近寄ってきて、何かを話しかけてきたが、ちょっと言葉が分からなかった。
クマが傍に居るよとかじゃないと良いんだが…。
7:08 《現在地》
気付けば地図上の計測での5km地点を過ぎていた。
行き止まりである道の往きの半分を終えた計算になる。
出発から1時間強でこれは、ほぼ自転車のお陰であるが、順調と言って良い。
道の現状は廃道状態といっていいが、そうなってから時間はさほど経過していないようで、走れる部分が多いので助かっている。MTBサイクリングとしても愉快だ。
それからすぐに無名の小さな枝谷を渡る場面では、溢れた水で路盤が流失して、分断に近い状態になっていた。
たぶんジムニストが見たら遊びたくなっちゃうと思う。
私もヒャッホーのかけ声で爽快に漕ぎ越える。
7:09
路傍に小さな池というか沼というか、とにかく深く水を湛えた窪地があった。
築堤である道に排水を邪魔された結果、雨水が溜まったもののようで、それだけなら良いんだが、この場所、とても獣の気配が……
いや、はっきり言うと、獣の臭いがスゴかった。
加えて、路上の泥濘みに付けられた足跡の数もスゴかった。大小様々……おっきすぎるのも含めた……足跡が。
近隣の野生動物たちにとって、朝夕喉を潤す便利な水場になっているに違いないこんな場所だけは、早々に立ち去るに限る。逃走!
そんな沼の隣、神秘を感じる巨大な枯れ木の根元では、ほんの少し前まで何者かが地面を掘り返して木の根を食っていた。
匂い立つように地面が荒されていた。
なぜか、割れた一升瓶や埋められた見出し標らしきものもあったが、人の仕業ではない。
地面を掘って根っこを喰う野生動物は、内地だと基本イノシシだが、北海道にはほぼ居ないことになっている。
エゾシカって、こんなに地面掘るんだろうか?
……怖いなぁ。
7:13 《現在地》