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道路レポート 緑資源幹線林道滝雄厚和線 滝上白滝区間(滝上側) 第1回

所在地 北海道滝上町
探索日 2023.10.27
公開日 2026.10.20


そろそろ、緑資源幹線林道(大規模林道)が恋しくなってきていないか?

ないと言われてしまうと立つ瀬がないので、興味を持ってほしい。
なんなら、以前のレポートも紹介しておこう。これとか、これとか。
個別の路線よりも、緑資源幹線林道(大規模林道)が何者であるかを知りたい人なら、こちらの記事がオススメだ。
が、全く予備知識がなくても、構わないぞ。気にせず読み進めてくれ。

緑資源幹線林道は、かつては全国に合計29路線、約2200kmの建設が計画されていたが、大部分の路線の完成を見ぬまま、事業主体(森林開発公団→緑資源公団→緑資源機構)の消滅によって未成道と化した、我が国を代表する“未成道の巣”である。
そして今回紹介するのは、北海道内にあった3路線のうちの一つ、滝雄厚和(たきおこうわ)線だ。
もとは北海道大規模林業圏と名付けられた北海道唯一の大規模林業圏内を連絡する大規模林道として計画された路線である。



緑資源幹線林道滝雄厚和線は、上図の通り、滝上白滝区間(23km)、白滝丸瀬布区間(22km)、丸瀬布留辺蘂区間(21km)の3区間からなっており、このうち前者2つは、平成21(2009)年の事業廃止時点までに完成することが出来ず、未成道に終わった。

全体像としては、北海道の東西を分ける大山脈である北見山地と石狩山地の東縁に沿って国道273号、333号、39号の主要幹線を南北に結ぶ経路で、未成区間を含む全体計画は約66kmに及んでいた。
仮に全線が計画通り2車線舗装路で開通し、そのまま高いレベルで維持が成されていれば、それなりの交通量が期待できたとは思うが、3分の1の区間しか繋がらなかったのでは使いようもない…。間違いなく、未成道の悲哀を背負った道である。

そして今回紹介するのは、このうち最も起点寄りの滝上白滝区間の北半となる、滝上町(たきのうえちょう)内の区間である。
距離や立地条件的な面で、本路線の中ではこの区間が最も末端を目指すためのハードルは高いように思うのと……、

ここの末端は、地図上で、なんだかとても刺激的ッ(↓)



この図の赤線で描いた道が、原図のSMD26(スーパーマップルデジタルVer26)には無色の道として描かれている、かつて緑資源幹線林道であった道だ。
そして、この全てが今回探索しようとしている道である。
単純に約12kmある、行き止まりの一本道だ。

そして、私は今回この起点の拓雄まではクルマで向かったのであるが、その道がまた長い。
国道273号が通る滝上町の中心部から拓雄までの距離が約22kmあり、ちゃんと鋪装された道道ではあるのだが、これがまたほぼ一本道である。
沿道に自宅があるとかでない限り、スタート地点の拓雄に辿り着くまでも20km以上の一本道を辿り、そこからようやく探索が始まる。たとえクルマを使っても遠さを感じるし、隔絶感がある。
そしてこのことがまた、未成道の末端に箔を付ける、一つの魅力となっている。

さて、勿体ぶりました。

この未成区間の気になる末端(ピンク枠のトコ)なんですけど……(↓)



トトトトンネルが!!

出口でブったギラレテル!!!


こういうのだいすきだよ〜。



 探索前移動 〜道道617号オシラネップ原野濁川停車場線〜


2023/10/27 13:09 《現在地》/海抜130m

ここは、滝上町の濁川で国道273号から南折し、オシラネップ川沿いに延びる平和な2車線舗装路である道道137号を約4km南下した地点だ。
間もなく、道道137号と道道617号の分岐地点があり、それを案内する青看が現れた。
直進が道道617号オシラネップ原野濁川停車場線であるが、その行き先表示は、「この先 行き止まり」という表示になっている!

青看レベルに固定された道道の行き先が、地名ではなく「行き止まり」。
なんとも香ばしいが、地図を見れば分かるとおり、その行き止まりというのは、この道道の中にはない。
道道の終点のさらに先にある、旧緑資源幹線林道の行き止まりを予告してくれているのである。
そして私は、その【行き止まり】を目指す者である。

早くも終わりが予告されてしまったが、その場所というのは、まだまだ遠い(約30km先)。
そして、到達の第一歩として、道道の終わり≒林道の始まりへ行かねばならない。
遠くの「行き止まり」を目指す旅を始めよう。(当分先まではクルマで行くぞ)



これが交差点を直進し、道道617号へ入った最初の場面だ。
北海道では標準デザインである道道標識と供に、パトランプ付のアナログ式道路情報板があり、こちらにも、「通り抜けできません」の表示がなされていた。

が、この通り抜けの出来ない場所が、道道の外にあるのだとしたら、ちょっとだけ気の毒だ。
道道にはどうしょうもないことで、この道道は永久に開通が案内出来ない道になってしまっているのだから。
もしも緑資源幹線林道が開通していたら、先ほどの青看の行き先も、「白滝」や「留辺蘂」となっていたことだろう。

ちなみにこの道道単体としては、路線名の通り、「オシラネップ原野」という場所を起点に持ち、「濁川停車場線」という場所を終点に持つ路線である。これから向かう山の中にあるのがオシラネップ原野で、既にクルマで通過した麓の濁川市街地に“あった”のが濁川停車場だ。濁川駅は昭和60(1985)年に全線廃止された国鉄渚滑線の駅だった。
同駅からこの交差点までは、道道137号と617号が重複しており、この先が単独区間である。



道道617号の単独区間に入っても、道はそれまでと変わらぬ歩道のない2車線舗装路で、地形も線形も悪くない。
「北海道らしい」という言葉で伝わる人も多いと思うが、川沿いの恵まれた谷底平野に、牧草地と造林地が代わりばんこに現れ、牧草地には集落と呼ぶほど集まっていない牧家がたまにある。沿道の地名も疎らだが、雄柏や上雄柏などが見え、かつては各々が開拓集落だったのだろうと想像できる。
路線バスが全く通っていないということが、沿道の現住人口の稀薄を物語っていよう。

道は良いが、ほとんど誰にも行き交わない、そんな道を、クルマの速力に頼って、ずんずん進む。



進むほど、徐々に沿道の風景に占める牧草地と林野の割合が後者優勢に傾いていく。
そして、冒頭の交差点から約16km進んだところで、第一号橋という名の大きな橋を渡って、ずっと並走しているオシラネップ川の右岸へ入ると、道は突如1車線になったと思いきや、その数百メートル先で、敢えなく砂利道に落ちたのであった。

こうして約17kmも進んだ地点で、遂に道道は、道道となる以前のおそらく林道に由来する本性を示すに至った。
とはいえ、砂利道としては路面状態は恵まれており、クルマでの走行に不安も感じない。
また、道が良くても、そうでなくても、とにかく対向車というものは分岐から一台も見なかった。
こんなにも寂しいと、クルマから出るのが、億劫になるよ……。


……そして、




13:30 《現在地》/海抜295m

分岐から実に18kmも進んだ地点にて、かつて緑資源幹線林道だった道の入口に辿り着いた。

そこは、辛うじて鋪装道路と呼べる砂利が浮いた1車線の道道から、右折路が分かれる分岐であった。
そして私はもう見つけた。
緑資源幹線林道だった道の入口に大抵残されている、特徴的な標識を。

木々の向こうに、見え隠れして、誘ってやがる!



キターーッ!

国道から22kmも入り込んだ、全く無人の山中に立ち尽くす、

いつものかんばん。

林道界の朽ちた徒花、緑資源幹線林道の空虚な名乗りだ……。



当然の2車線舗装路!

ここに辿り着くまでに、道道が金尽きて手放した高スペックを、

別の財布から作ってますからと言わんばかりに、緑資源は取り戻す!

(お前それでどっかに繋がってるなら何も言わないけどさぁ……)



林道側から、分岐を振り返る。
この丁字路が、緑資源幹線林道滝雄厚和線の滝上白滝区間の起点であると同時に、路線全体の起点だった。
すなわち、「滝雄(たきお)」という地名であることが示唆されるが、地図にある周辺の地名は別で、「拓雄(たくゆう)」というものである。
なんとなく、同じ由来に別の字を宛てたような雰囲気がある二つの地名だが、その関係性ははっきりしない。

林道名を記した看板の裏側に、同じ林道の事業者が作設した案内板が取りつけられていた。
よく見ると、「緑資源幹線林道」の文字がシールで上書きされたものに見えるが、当初は「大規模林道」となっていたものを修正したのだろう。これはよく見る修正だ。

私は、探索すべき林道の起点であるこの交差点のはずれにクルマを停め、探索の準備を始めた。
ちなみに、この時点では、林道側に関する一切の通行規制や、その予告も見当たらないが、なぜかグーグルカーは、ここで引き返したようだ。
野生の勘だろうか。お陰でこの先の風景は、マジ不明である。



この地点の周辺を最新の地理院地図で見ている。
現在地の丁字路を直進して、オシラネップ川の右岸をそのまま南下する道が都道府県道の色で塗られているが、林道が接続される以前からあった道道の末端部分である。この500mくらい先に、本当の道道の起点があるらしい。すなわち、路線名における、オシラネップ原野と呼ばれた地点である。

時間に余裕があれば、ついでに道道の起点も見ておきたいが、あくまで本題は緑資源の方なので、今はその探索を優先する。
まだ13時台だが、林道の末端までは、ここからでも12kmもあり、その全てが上り坂だろうから、自転車ではそれなりに時間が掛かりそうなのだ。
またいつもみたいに暗くなるのは、イヤだろう。



ちなみにこれが、いまは行かないけども、直進する道道の様子だ。

本来の道幅は【来た道】と変わらないと思うが、明らかに交通量のほとんどを緑資源側に取られている様子で、轍が薄くて怪しい感じ。
そのうえ、「通行止」の道路標識が、何の説明もなく取りつけられている。
特に封鎖はされていないが……、見るからに怪しいのである。




13:35 探索準備完了!

自転車に乗り換えて、出発します。




 ペペロ大橋から始まる、片道12kmの袋小路


2023/6/7 13:35 《現在地》/海抜295m 

これが「国道並みの林道」をウリにしていた俺からの挨拶代わりだ!ってなカンジだったのかは知らないが、砂利道状態にまで先細っていた道道617号から旧緑資源幹線林道の区間に入ると、直ちに2車線舗装路の整備水準を取り戻しただけでなく、立派な橋が現れた。

その名も――



ペペロ大橋(ぺぺろおおはし)

イタリア語で、ペペロンチーノ(peperoncino)は唐辛子の意味らしいが、アイヌ語でペペロはユキザサというユリ科の多年草の名前らしいので、このどちらかが由来なんだろう。
全国の“語感がかわいい橋名トップ10”に入るかもしれないペペロちゃん。

「道は行き止まりだよてへぺろ」って、コメントに書かれる前に書いておこうねぇ。



銘板が四隅の親柱に揃っていて、橋名の他に、「オシラネップ川」という河川名と、「平成5年11月しゅん功」の完成年が記録されていた。
平成5(1993)年という時期に、県道から分岐して最初に渡る橋が完成していた事実は、この区間の工事がスタートした時期を推し量る材料になりそうだ。

そして、この先に現れる橋の完成年も同じように調べていけば、工事進捗のテンポが明らかになるだろう。
ちなみに、平成11(1999)年に森林開発公団が緑資源公団へ改組されたことで、大規模林道は緑資源幹線林道へ改名された経緯がある。したがって本橋は、大規模林道の時代に架けられた橋であることが分かる。

チェンジ後の画像は、橋の真ん中あたりから見下ろしたオシラネップ川の渓谷だ。下流方向である。
既に沿道に人家を見なくなってから相当の距離(10km以上)を遡ったが、まだまだ上流に豊富な長さを持っていそうな水量と川幅であった。
林道が、どこまでこの源流に迫るのか、力の程を見せて貰うとしよう。



13:37

ペペロ大橋を渡って、川の右岸に取り付くと、特に代わり映えのない、とても普通の2車線舗装路だ。

まだゲートや通行規制がないので、これなら普通にクルマに乗って進んでくれば良かっただろうか……?
そんな疑いも脳裏を過ったが、まだまだ地図上のゴールまでは片道で12kmもあるのだから、今は平凡でもなんでも普通のサイクリングのペースで先へ進めることを喜んだ方が良い。もしもこの距離がガチガチの廃道だったら、とても今からの残り時間で往復なんて出来ないのだから。



13:37 《現在地》/海抜290m

林道の起点から約300mの地点に、右後方への鋭角な分岐があった。
分岐先の道は1車線の砂利道で、見るからに林道のようであったが、立て札に「滝雄林道 7.032km」と書いてあり、路線名が判明。

この林道は、最新の地理院地図にも描かれており(路線名はなし)、確かに7kmほどで西側の尾根を越え、隣の渚滑川本流の谷を走る国道273号へと通じている。そして実は、今回の探索の4ヶ月ほど前にも、この緑資源幹線林道の探索を実行しようとしたことがあり、その時にはクルマで滝雄林道を抜けることで、上川方面から手早く起点にアプローチしようとしたのだったが、国道側の入口が封鎖されているのを見て、予約していた帰りのフェリー時刻との兼ね合いから、その先の探索を断念していた。もしもここが通れれば、上川方面からのアプローチ距離を実に40km以上も短縮できるスグレモノなのだが…。

……そんな余談はともかく、ここに滝雄林道という名の林道があるのは、国有林側の目線で、この地が滝雄と呼ばれていることを物語っている。そして私は、地形図には出ていないマイナーな「滝雄」という地名が、緑資源幹線林道滝雄厚和線の名前に入ることで、一時的にも全国区になったことにロマンを感じる。結局は開通せず、路線名もすっかり忘れられてしまったが…。



滝雄林道分岐を過ぎても道の様子に変化はなく、たらたらと一定のペースで登る、白線は消えた2車線舗装路が続く。

景色は思いのほかに解放的だ。
谷底からさほど離れていない所にいる割に、前方の視界が広く、空が高い。
遠くにだけ明るさを感じる曇りの空の下、取り立てて険しいわけではないが、低くもない、どっしりとした山の連なりが、灰色の濃いシルエットを描いていた。

名前を地図に教えられても知らない山々で、この道が越えようと試みたというその一点でのみ、私との交渉の機会が生まれている。
おそらく今日を最後に私が二度と近づくことのない山々だと思う。
北海道は広いからね…。



13:41 《現在地》/海抜300m

起点から0.9km地点、左後方からやはり未舗装の林道が合流してきた。
立て札によれば、「ペンケベベセナイ林道」という名前の国有林林道らしい。
地図を見ると、その行き先にあるのは、支流の「ペペロナイ川」である。

アイヌ語の地名には困惑させられることが珍しくないが、ペペロナイとベベセナイは、似ているような、似ていないような、微妙な類似性で悩ましい。
この辺りを示しているとみられる「滝雄」(たきお)と「拓雄」(たくゆう)も無関係ではない気がするし、こうした地名の錯綜関係も、日常からの遠さを感じさせる要素になっている。



道沿いに、若木ばかりの平坦な造林地が点在している。
その所々に意味深な脇道があり、舗装路の上から視線だけ向けて観察すると、手作りの畑があった。
明らかに、最近も人の手入れを受けている。

「こんな場所に?」なんて書いたら、怒られてしまうかもしれないが、ここは滝上町の中心地から20km近くも袋小路へ入った場所である。都会感覚などではなく、私が住む“田舎”秋田の感覚からしても、このように集落から遠い場所で個人規模の耕作が続いているというのは、意外な感じがした。

行き止まりとはいえ、立派な舗装路の存在が、こうした土地の利用を支えている面は間違いなくあるだろう。
投下された公共事業費に対し、ほんの少しは報われていると思える要素だが…。


費用対効果?


それは、言わないでやれ……。



なお、昭和40年代の地形図を見ると、この周辺の広い範囲に結構たくさんの人家が描かれていて驚いた。
地名は特に注記がないが、現在の地形図にある「拓雄」というのがこの集落の名前であり、戦後入植された開拓集落だったらしい。
「村影弥太郎の集落紀行」にレポートがあるので、興味がある方は読んでみるといい。
ちゃんと調べれば、結構色々なものが残っているようだ。

この拓雄集落の全戸離村は、昭和43(1968)年とのことで、それまではここがオシラネップ川沿いにおける最も奥地の村落だったようである。
大規模林道というのは、一番早い路線でも昭和40年代後半から整備が始まっているので、集落の退転には影響を与えていないはずで、おそらく完全に無人化してしばらく経ってから、林道の整備計画が持ち上がったという流れだと思う。
今も沿道を耕作しているのは、きっと元住人なんだろう。



13:46

そろそろ、起点から2km来た。
全体(12km)の6分の1を走破したことになる。
道は相変わらず広くて立派だし、荒れていることもない。もちろん封鎖もされていない。
勾配もほとんどないので、ハイペースで進めている。

今のところは、とても順調と言えるだろう。



小さな廃屋が道の近くに残っていた。
人家というよりは、山仕事の道具置き場や休憩所っぽい。

それ以上のコメントが思い浮かばない。
パッとしない曇り空の印象が強いのは間違いないが、沿道の全ての風景がうすらぼんやりとしていて、地形も道も単調なので、連戦3日目の疲れ始めた身体は既に強力な眠気を感じている。
なにか、目が覚めるようなものは……。



13:48 《現在地》/海抜305m

お早い登場で…。

出発から15分後、起点から約2.3kmの地点に、早くも、閉じたゲートが現れた。

全く何の予告もなく現れた、唐突な封鎖である。
また、封鎖ゲートそのものにも、何の説明もない。区間も期限も理由も、言い訳一切なし。
まるで、「分かっているだろう?」とでも言わんばかりに、塞がれているのである。

これは、20km以上も前の時点で【予告が済んでいた】ということなのかもしれないが、この唐突な封鎖は予想外。
終点に近づく過程で、いずれこうなる可能性は認識していたのだが、さすがに、早い。



ここからだと、【地図上の終点】まで、なんとまだ二桁キロメートルある!

推定残距離、ちょうど10km。

もともとの整備水準が高い道ではあるが、片道10kmの封鎖区間に、完全人力装置のみで突入するのは、気楽な行為ではない。

……もちろん、行くんだけどさ。そのために来たんだし。

寂しいという素直な感想は、気兼ねなく言わせて欲しい。


突入。



なんて寒々とした寂しい道だろう……。

こんなのを10kmも独りで漕ぎ続けたら、私の精神力は、きっと磨り減ってしまう。
今だって寂しいのに、ここよりも10kmも深い山の中に、どんな終点が、独りでいるのか?
それを確かめたい事だけが、進む動機である。

行かなければ確かめられない風景を記録することに、私は勝手な使命感を感じているけれど、これはとても軽薄な「試し」の気持ちでは耐えられそうにない、深い寂しさだ。
私の意識には、車で走ってきただけの長い道のりも確実に重石としてのし掛かっていた。寂しさは、本当に重石のように、心をずしりと重くする。



何かある。

この封鎖には一切の説明がないのかと思ったら、ゲートのちょっと先に、何かがあった。

朽ちているのが、一目瞭然の、何かが。

読もう! 人が書いた文字を読んで、ちょっとでも寂しさを紛らわせたい!



クマ怖いよぉ……。


だけど、この道を進もうとする者に道路管理者が伝えたい言葉は、これだけなのか……?


……


…………いや、ゴミのように丸まった看板が、下に落ちているぞ!  めくれ!







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