| 読者の皆さまへのお願い |
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<読者さまにお願いしたいサイト貢献>
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2024/11/5 7:33〜7:36 《現在地》/海抜1490m
起点から3.4km地点、“万座山の鬼”の直下に、地形図にもしっかり描かれている分岐がある。
カーブなりに右方向へ進むのが万座峠行きの本線で、反転して左折するのが支線である行き止まりの林道だ。
支線は入口のゲートバーが下がっていて、封鎖されていた。特に路線名などを報せる掲示物はない。
迷わず本線を続行。
7:44
分岐を過ぎると、道が狭くなったように感じた。
原因は、両脇に生い茂る笹がこれまで以上に中央の近くまで侵入してきているせいだ。
そのせいで、ますます自然歩道か登山道みたいな頼りなさになっている。
道路管理者による手入れが停止した後も、有志たちの往来によって維持されてきた、最後のシングルトラック。
その存在が、“山チャリ” と “廃道探索”を分ける、一線だ。
今はまだ“山チャリ”を維持できていると、私の中ではそういう認識だった。
7:47
分岐を過ぎて約10分後、枯れススキが生い茂る小平地で、またも小さな橋と出会う。
これも銘板がない“名不知”橋で、跨いでいるのは渋沢の小支流だ。
ここで私は、渋沢を渡る2回目の橋に辿り着いたのだと勘違いをした。
7:50
渋沢を2回渡った直後であると錯誤している。
そんななかで、初めて自転車から引きずり下ろされた。
路面状態の悪化が原因だ。
まるで砂場のような柔い路面と急坂の複合で、漕いでも車輪が空転して前に進めなかった。
大人しく自転車から降りて、押し歩く。
7:52 《現在地》/海抜1540m
あれ? また橋だ?
そんな感じで出会ったこの橋が、本当の2回目の渋沢橋だ。
150m前のさっきの橋よりは大きいが、やはり銘板などが見当たらない名不知橋だ。
現在地の錯誤にはここで気づいて直ちに修正。改めて、起点から4.3km、海抜1540mの地点にいることを認識。
(秋田県と岩手県の道路上最高地点である八幡平・見返峠の標高をここで超える)
橋から見下ろす渋沢の流れや周囲の地形も、前に見た時からは随分変わった気がする。
【前回】
は、ブナの森の落ち着いた渓流のように見えたが、40分ぶりに約100m高いところで再開した姿は、笹と白樺の斜面を走る細流だった。
依然として雲の中で姿を見せない山上は、これ以上に荒涼とした世界であろうか。
7:53
渋沢を渡った直後の風景。
霧か、雲か、当事者目線からは判断ができないが、ここで濃いガスの中へ突入した。
ガスの動きが思いのほかに早く、気付けばもう包まれていた感じだ。
また、橋の前でもまた一定数の先達が脱落したような感じだ。
轍の衰弱は、私の漕ぎ足が常に草と“ふれあい”を余儀なくされる状況にまで悪化した。
雨の後は靴ごと足が濡れるから嫌なんだけど、そんなことを言っても始まらない。足濡れの覚悟を決める。
足を濡らす、そんなささやかな覚悟の……1分後。
7:54
こいつは足だけじゃ済まねぇ、全身濡らされちまう道だッ!!
一応シングルトラックは継続していて、漕いで進める感じの路面があるにはあるのだが、交通量が笹の繁茂力に全く追いついていないようだ。
これはもう、ぐしょ濡れの笹の葉を自転車と身体で強引に掻き分けながら進むしかない。
11月の標高1500mオーバーで身体を濡らしたいなんて思う人はどこにもいないが、仕方がない。
敢えなく、身体を濡らす覚悟を決める。
これほんと不思議なんだけど、濡れた藪の中を歩くと、どんな防水装備も大して効かない。
雨には鉄壁の装備でも、濡れた藪に対する防水効果は期待するほど高くない。藪ってほんと手強い。
濡れるを選んだことで、また少し、“山チャリ”と“廃道探索”の天秤が、右へ傾いた。
7:55
ちょっと笹が退いてくれて、路面が大きく出ると、嬉しい。
地図にもあるとおり、道はこの辺りから、少し間延びしたような九十九折りとなる。
ここが1度目の切り返しで、あと3度切り返すと、長いトラバース路へバトンを繋ぐ。
一連の九十九折りは、徐々に切り返しの間隔が離れる傾向があって、次は少し遠く、その次はもっと遠い。
8:01
はい、6分後。これが2回目の切り返し。
ここは記憶を辿っても、淡々とした印象しかない。
ずっと漕いでいるから楽ではないし、予想通りに濡れが進行しているから不快だ。
しかし、辛さを積極的に共感して貰うには、いささか景色が凡である。
背丈を圧倒する笹藪の中をのたくっているから、全然視界が開けない。
もし天気に恵まれていたとしても、小さな空の色が青いくらいの違いしかなかったと思う。
8:04
濡れるッ!!!しかない…。
ガサゴソガサゴソと耳障りな音を立てながら、ノロノロ進む。
シングルトラックは生きているが、路面が見えないところでは、念のため押して進んでいる。
何かに乗り上げて止まることを何度か繰り返して、嫌になった。
あと、スマホのボリュームを最大にしてMP3を流している。こんな処でクマとの鉢合わせはゴメンである。
8:06
ずっと藪道が続いているわけではなく、こういう救いのエリアが時々現れてくれた。
ただ、路面が見えていても、乗車はしないで押したまま進む場面が増えた。
路上に障害物が多くなってきたのと、洗掘による溝も増えてきたせいである。
乗ったり下りたり繰り返すと余計に疲れるので、ある程度の頻度になったら、しばらく乗らない。
あと、いつの間にかガスが晴れていた。
8:14
3回目の切り返しを過ぎている。
次の切り返しで、この九十九折りは打ち止めだ。
周りのガスが晴れているのに気付いた時、空が明るくなっていることにも気付いた。
青空が見えるには至らないが、頭の上の雲は確実に薄くなっていると思う。
まあ、標高を上げ続けているのだから当然かもしれないが、とても良い傾向だと思った。
8:15
キツイです。
つまらなキツイ。
廃道探索中、常に私のテンションがマックスで、あらゆる場面を全肯定していると思っている人がいたら、認識を改めてほしい。
藪を漕いでいるときに楽しさを感じる方法があるなら、誰か教えて欲しい。
あっ、ちょっと楽しい。
振り返って見た笹原の向こうに(中央が道です)、
雲の中から新しい山が登場しようとしている気配があった。
水墨画もってこ〜〜い。
あの辺は万座山で、相変わらず山頂を含む稜線が見えないが、雲霞に煙る山の片鱗が美しかった。
下から“2本の角”に見えたのも、あの辺のどこかだ。
8:19〜8:29 《現在地》/海抜1633m
やっとキター。
起点から約5.3km、地形図に標高点1633mが打たれた4回目の切り返しへ。
濡れた笹藪とふれあう、30分間の修行のような九十九折りは厳しかったが、気付けば道のりの半分もとうに越え、後半へ入り込んでいた。
ここまで雲の帳も越えて登ってきたが、未だ一度も姿を見せていないのが、万座峠を戴く国境の稜線だ。
おいおいおい、大丈夫? ここまで随分と期待が膨らんでいるぞ。
この私の期待に応えられるか? 万座峠よ!!
万座峠 まで のこり 3.0km